温泉基礎知識



◆温泉とは


 日本の「温泉法」によると地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガスであって、採取されたときの温度が25℃以上で下表の物質のうち、1つ以上を一定量以上有するものを温泉といいます。

物質名・溶存物質(ガス性のものを除く) 含有量(1kg中)総量1,000mg以上
遊離炭酸(CO2) 250mg以上
リチウムイオン(Li+) 1mg以上
ストロンチウムイオン(Sr++) 10mg以上
バリウムイオン(Ba++) 5mg以上
フェロ又はフェリイオン(Fe++,Fe+++) 10mg以上
第一マンガンイオン(Mn++) 10mg以上
水素イオン(H+) 1mg以上
臭素イオン(Br-) 5mg以上
沃素イオン(I-) 1mg以上
フッ素イオン(F-) 2mg以上
ヒドロヒ酸イオン(HAsO4--) 1.3mg以上
メタ亜ヒ酸(HAsO2) 1mg以上
総硫黄(S)〔HS-+S2O3--+H2Sに対応するもの〕 1mg以上
メタホウ酸(HBO2) 5mg以上
メタケイ酸(H2SiO3) 50mg以上
重炭酸ソーダ(NaHCO3) 340mg以上
ラドン(Rn) 20(百億分の1キュリー単位)以上
ラジウム塩(Raとして) 1億分の1mg以上


◆温泉の効用


 温泉の効用は温泉成分による化学的効果、温水圧による物理的効果。温泉のある周囲の自然環境などが総合的に作用している効果があるといわれています。それぞれの効用を説明すると次のようになります。
 まず、温泉成分による化学的作用があげられます。温泉の熱と温泉に溶け込んでいる物質の温熱効果により皮下の血管を拡げ血流を増加させ、保温効果を高めます。低めの温泉に入浴してもいつまでも、ぽかぽかしているのはこのためですね。
 次に温度や水圧などによる物理的作用。温水につかることで空気中より高い圧力が外から体にかかるため、静脈血を心臓に戻す力が強くなり、また心臓から押し出される血液も増加します。そのため、酵素、栄養をとり多く取り入れ、老廃物、炭酸ガスを体外に早く押し出すため、疲労回復を早めます。また、筋肉・内臓などに物理的な刺激が加えられ、血行促進や発汗を促したりします。
 また、入浴により浮力が高まり、足首やひざなどにかかる体重が減るため体の動きが楽になり、リハビリテーションにも適しています。
 そして、気候、地形などの自然環境による作用。事務所、学校、住宅などの日常と異なる自然景観や雰囲気が、日々の生活によるストレスを和らげてくれます。


◆温泉の泉質について

 温泉水に含まれている化学物質の違いによる区別が泉質です。すべての温泉はこの化学的な分析データをもとに泉質が決められています。
 従来、重曹泉、石膏泉、芒硝泉、緑礬泉、正苦味泉などの旧泉質名が使われていました。、昭和54年、温泉水に含まれる化学成分をそのまま記す新泉質名に変わり、現在は、温泉水に含まれている成分と含有量による、幾つかのグループに分けた掲示用の新泉質名が多く使われています。
 温泉の泉質は、単純温泉、二酸化炭素泉、炭酸水素塩泉、塩化物泉、硫酸塩泉、含鉄泉、含アルミニウム泉、含銅鉄泉、硫黄泉、酸性泉、放射能泉に大別されています。注意しなくてはならないのは成分により分類しても、それぞれの成分の多少により同じ泉質の温泉は二つとなく、また、大分県別府温泉のように一つの温泉地でも別の泉質の温泉があるところもあります。

1、単純温泉
泉温が摂氏25度以上で、温泉水1kg中に含有成分が1,000mgに満たないものです。pH8.5以上のものをアルカリ性単純温泉と呼んでいます。肌がつるつるになるなど肌触りが柔らかく、九重町筋湯温泉、宝泉寺温泉、川底温泉など多くがこの泉質です。
2、二酸化炭素泉
温泉水1kg中に遊離炭酸1,000mg以上を含むものです。入湯すると全身に炭酸の泡が付着します。わが国には比較的少ない泉質で、泉温の高いものは大分県久住町長湯温泉が有名です。飲用すると炭酸の咽越しが楽しめますが、私は好きではありません。
3、炭素水素塩泉
温泉水1kg中に含有成分が1,000mg以上あり、陰イオンの主成分が炭酸水素イオンのものです。陽イオンの主成分により、ナトリウム−炭酸水素塩泉やカルシウム−炭酸水素塩泉、マグネシウム−炭酸水素塩泉などに分類されます。ナトリウム−炭酸水素塩泉(旧泉質名で「重曹泉」と呼ばれていたもの)は、久住町七里田温泉、九重町筌の口温泉がこれにあたります。
4、塩化物泉
温泉水1kg中に含有成分が1,000mg以上あり、陰イオンの主成分が塩素イオンのものです。日本で多く見られる泉質で、陽イオンの主成分により、ナトリウム−塩化物泉、カルシウム−塩化物泉、マグネシウム−塩化物泉などに分類されます。塩分が主成分となっているので、飲用すると塩辛く、塩分濃度が濃い場合は苦く感じられます。天瀬町、小国町の杖立温泉がナトリウム−塩化物泉(旧泉質名で「食塩泉」と呼ばれていたもの)です。
5、硫黄泉
温泉水1kg中に総硫黄1mg以上含有するものです。単純硫黄型と硫化水素型に大別され、わが国では比較的多い泉質です。タマゴの腐敗臭に似た特有の臭いは、硫化水素によるものです。久住町赤川温泉、法華院温泉、長者原温泉、寒の地獄温泉、天瀬温泉、黒川温泉、山川温泉がこれにあたります。


◆温泉の適応症と禁忌症


 温泉の効用は、環境など多くの要因が複合的に作用したものなので、成分だけで決めることができません。一般的には、次のような適応症といわれています。各温泉により、特別有名な効用があるので各地の温泉情報を確認してみましょう。
 ちなみに、以下の適応症はこのホームページで紹介してある一般的なものだけです。

一般適応症
 全ての温泉に共通する適応症は次の通り。
神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺(ひ)、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔(じ)疾、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進
一般的な禁忌症
 全ての温泉に共通する禁忌症は次の通り。
 急性疾患(特に熱のある場合)、活動性の結核、悪性腫瘍(しゅよう)、重い心臓病、呼吸不全、腎不全、出血性疾患、高度の貧血、その他一般に病変進行中の疾患、妊娠中(とくに初期と末期)
泉質別の禁忌症
特に次の泉質の温泉の禁忌症は次の通り。
硫黄泉・・・皮膚、粘膜の過敏な人特に光線過敏症、高齢者の皮膚乾燥症
酸性泉・・・皮膚、粘膜の過敏な人特に光線過敏症、高齢者の皮膚乾燥症
高温浴(摂氏42度以上)の禁忌症
高度の動脈硬化症
高血圧症
心臓病





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