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四国八十八ヵ所お遍路の旅。「自分探し」が言われて久しいが、ここ数年歩き遍路が見直され、その数も増えてきた。1200年以上前、弘法大師が辿った道を、ひたすら歩くこと。自分と向き合い、自然の中に身をおくことが、次の一歩を指し示してくれるのではないか。複雑になってきている人間関係や常に見えない何かに追われている日々の暮らしを離れ、自分を取り戻す手段のひとつなのかもしれない。 愛媛県・伊予の国「菩提の道場」とされ、第四十番から第六十五番まで、二十六ヵ寺がある。そして、松山は第四十六番浄瑠璃寺から第五十三番円明寺の八ヵ寺が点在する。雨の一日、道後温泉近く、第五十一番石手寺に出かけた。 |
| ■ 「おはつか」 |
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「お大師さんに行くの?」顔見知りに声を掛けられた。雨のお昼前を近くの石手寺に参ることにした。毎月20日は「おはつか」と呼ばれ、親しまれてきた。そういえば、祖母や母親に手を引かれて「おはつか」のお参りをした思い出は、近在の子どもにとって共通する記憶である。子どもの常で、お参りはほどほどにすませて、縁日の屋台をのぞいたり、参道で売られている<おやき>を買ってもらた。紙の包みを通して掌に伝わる温かさに、心は和らぎ、満たされていた。 他にも、帰りには必ずおうどんを食べたとか、道後温泉に入って坊ちゃん団子を食べさせてもらったとか、スタイルは様々でも、貴重な思い出の一こまである。 やさしく心楽しい思い出は、どうも胃袋と直結しているらしい。 帰りには、<おやき>を買って帰った。温かさは、いつも変わらない。 |
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